市場のリスクは米政治に根ざしている[G7財務相・中央銀行総裁会議が開かれた新潟市内で記者会見するジャネット・イエレン米財務長官=5月11日](C)時事

 米国の黄金時代1950年代の映画「理由なき反抗」。ジェームス・ディーンらが演じる不良少年が崖に向かってクルマを走らせ、最初にブレーキを踏んだ相手を「チキン(臆病者)」と罵る。お馴染みの「チキンゲーム」が、よせばいいのに米議会で繰り広げられている。

 ゲームの主戦場は崖ではなく、米政府が法律上認められている借金の天井。「債務上限」の引き上げが認められるかどうかだ。このままでいけば、6月1日ごろにも米政府の借金の額は債務上限に達してしまい、借りたお金を返せなくなるデフォルト(債務不履行)に陥る。

米国庫残高は1年前の3分の1

 この手の話にありがちなホラーストーリーと思われる向きも多いだろうから、米国の財政の財布の中身を可視化しておこう。

 政府の財布を国庫というが、財布に入っているおカネの残高が国庫残高である。国庫残高は税金や社会保険料が入るたびに膨らむが、政府が予算を使うごとに減っていく。そして国庫がマイナスに陥るというのは、財布の中身がすっからかんになる状態。つまり借りたカネを返そうにも返せないデフォルトである。

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