シリアのアラブ連盟復帰は地域情勢の安定をサウジがアピールする大きな材料に[サウジのファルハーン外相を迎えるシリアのアサド大統領(右)=2023年4月18日、ダマスカス](C)AFP=時事 / Syrian Presidency Facebook page

 3月に中国の習近平国家主席によるトップ仲介外交で合意したサウジアラビアとイランの外交関係正常化。これを機に中東からの撤退を急ぐ米国に代わって、地域での影響力確保を狙う中国がプレイヤーとなった新しい中東秩序の建設がはじまっている。この過程に思わぬかたちで「勝者」に浮上しつつあるのが、長く国際社会で孤立してきたシリアのバッシャール・アル・アサド大統領である。戦争と制裁を生き延びた父ハフェズ・アル・アサドから受け継いだ冷酷な権謀術数は、中東の将来に火種をひろげるリスクをはらむ。

 5月19日にサウジアラビア首都リヤドで開催予定のアラブ連盟による首脳会議。中東地域の盟主としてみずからをアピールしたいサウジの若き実力者ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、この場に「仇敵」アサド大統領を招いた。アサド大統領は2010年末からの中東民主化運動「アラブの春」の後、反体制派を弾圧しアラブ連盟への参加資格を剥奪されていた。

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