地球から約1万5000光年の距離にある恒星の表面をかすめ、完全に飲み込まれる前に破滅する惑星[想像図](C)Reuters

[ワシントン発(ロイター)]地球の悲惨な運命が垣間見えるかのような現象が観測された。年老いて膨張した恒星が木星のような惑星を飲み込んだ後、げっぷをするかのように宇宙空間へ勢いよく物質を吐き出す様子が初めて記録された。研究成果は5月3日、学術誌「Nature」に掲載された。

 この恒星は寿命の最終段階である「赤色巨星期」の初期段階にあり、中心部の水素燃料を使い果たし、膨張しはじめている状態だった。恒星が大きくなるにつれ、その表面が惑星の軌道に達したことで今回の現象が起こった。恒星は太陽系と同じ天の川銀河にあり、地球から鷲座の方向へ約1万2000光年進んだ場所に位置している。光年は1年間に光が進む距離を示し、1光年は約9.5兆キロにあたる。この恒星が若かった頃は、太陽と同じくらいの大きさで、組成も似ていたが、誕生から約100億年が経った現在は、太陽の倍ほどの大きさがある。

 赤色巨星は元の直径の100倍にまで膨張し、行く手を塞ぐ惑星をすべて飲み込む。恒星が膨張する様子はこれまでも観測されていたが、惑星が飲み込まれる様子を観測したのは初めてだ。

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