非核三原則にかかわらず、そもそも拡大抑止の在り方そのものが、沖縄から核を撤去しなければならない事情を抱えていた[首相官邸で沖縄返還協定に調印する愛知揆一外相(中央)。右端は佐藤栄作首相。調印式は衛星中継で行われ、ワシントンではロジャーズ米国務長官が署名した=1971年6月17日](C)時事

 

「事前協議」とNCND政策の矛盾

 アメリカ軍は、日米安保条約にもとづき、日本の基地を使用することができる。そして当然のことながら、それにともなう必要な装備品(兵器)を、日本の基地に持ち込んでいる。

 だが、そのようなアメリカ軍といえども、日本国内に自由に持ち込めない兵器がある。それが核だ。

 本稿前回(1.戦略論を遠ざけてしまった「核の一国平和主義」)で述べた通り、アメリカ軍による日本への核の持ち込みは1960年の岸=ハーター交換公文でいうアメリカ軍の「装備における重要な変更」にあたり、日本政府との事前協議の対象になる。アメリカは、地上配備あるいは陸揚げという意味では、日本に勝手に核を持ち込めない。

 ここで問題となるのは、「アメリカ海軍の艦船が核を搭載していた場合、このような艦船が日本の港湾に一時的に寄港するときに事前協議が必要になるかどうか」である。

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