7月のNATO首脳会合にも「AP4」(日、豪、韓、ニュージーランド)が招待される[写真は2023年4月4日、ベルギー・ブリュッセルのNATO本部で行われたフィンランド加盟後の旗揚げ式](C)AFP=時事

 

 NATO(北大西洋条約機構)が東京に連絡事務所(liaison office)を設置する方向で、日本とNATOが調整を進めているというニュースは、2023年5月3日にNikkei Asiaが最初に報じてから、日本語メディアで報道が続いた他、英語メディアでも多く報じられた。中国がこの件に反発したことも、結果としてさらに注目を高める結果をもたらした。

日・NATO関係がここまで世界中で見出しになったのは稀なケースだったといえる。

 なぜここまで注目されたのか。これは、この連絡事務所設置がいかなる文脈に位置付けられるのかという問題に直結する。それは何を意味するのか、そして何を意味しないのか。順にみていこう。

なぜ注目されたのか?

 東京への連絡事務所設置は、端的にいって、NATOの対中戦略の一環だと理解されたために注目されることになった。そして当の中国が事務所設置に反発したことで、逆説的ではあるが、本件が対中政策ツールであることが強く印象付けられることにもなった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。