連載小説 オペレーションF[フォース] 第17回
2023年6月17日
【前回まで】北朝鮮ミサイルが日本海沿岸に弾着寸前に爆発した事件で、世論は沸騰していた。その渦中で主計局の周防は、上司の松平から「傘屋の小僧」に徹する覚悟を知らされる。
Episode3 リヴァイアサン
“国家の指導者たる者は、必要に迫られてやむをえず行ったことでも、自ら進んで選択した結果であるかのように思わせることが重要である。”
『君主論』マキャベリ
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2022年8月11日――。
丸ノ内線四ツ谷駅から地上に出た土岐悟朗[ときごろう]を、強烈な日射しとアスファルトの熱気が襲った。
ありえん!
大学ラグビーでフルバックとして活躍した土岐は、今も母校でコーチを務める。
日常的にトレーニングを欠かさないこの俺が立ちくらみするなんて。
40歳を超えたせいではない。この4日間、不眠不休で働いているからに違いない。
残業はしない、仕事は持ち帰らない主義だが、さすがに“あの日”以来、土岐の主義は通用しなくなった。
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