海外提供が禁止される重要データの規定は判然としない[中国・中央アジアサミットに参加した習近平国家主席=2023年5月18日、陝西省西安](C)AFP=時事

 

「この分野の研究を一時中止しようかと考えている」

 先日、講演会で一緒になった中国経済の専門家から意外な言葉を聞いた。同氏は、ある重要産業分野における政府系ファンドについて、具体的にどのような企業に投資しているかを調査していた。その際のツールとして重宝していたのが企業データベースだが、今年3月頃を境に、日本からアクセスできなくなってしまった。頼みの資料が取りあげられてはこれ以上、研究を続行することは難しいのだという。

投資ブームを支えてきた「企業情報のオープン化」

 この企業データベースについて、説明しておこう。天眼査(ティエンイェンチャー)、企査査(チーチャーチャー)、啓信宝(チーシンバオ)が代表的なサービスだが、中国政府や裁判所が持つ企業データ、個人データを集約し、わかりやすく表示する民間サービスである。上記3サービスは政府が保有する企業工商情報が2014年にオープン化したことを受けて成立したが、非上場企業の情報もわかりやすく透明化され、ベンチャー投資ブームに沸く中国ビジネス界で欠かせないツールとなった。もちろん、中国企業を研究、調査する上でも必須だ。

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