党中央委全体会議では議事の「司会」もせず、演説をすることもなく、「参席」にとどまった金正恩総書記(中央)[「わが民族同士」HPより]
 

 6月19日付は、16日から18日にかけて開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第8回全員会議(総会)拡大会議について計4ページで報じた。会議では、「党中央委員会第8期第6回、第7回全員会議が提示した前進目標と戦略・戦術的原則に従って国家の利益と安全環境をしっかり守り、われわれ式社会主義の全面的発展の局面を新たに上昇させるための今年の主要政策実行状況を中間総括し、下半期の進軍道程でしっかり対策を立て、より拍車を掛けるべき重大な政策的問題を討議、決定した」とされた。

 議題は、①今年の主要政策実行のための闘いをより果敢に展開していくことについて、②教育事業を発展させるための画期的措置について、③各級人民委員会活動家の役割を画期的に強めることについて、④人民主権の強化における問題について、⑤党規律建設を深化させるための重要対策について、⑥組織問題(人事)――の六つであった。

「司会」すらせず、「参席」のみ

 今回の報道で最も特徴的だったのは、会議で報告を行った人物の主語が「党中央委員会政治局」で一貫していたことである。前回までの全員会議では金正恩(キム・ジョンウン)氏を指す「総書記同志」が主語となっていたが、今回は誰が報告を行ったかをぼやかしている。金正恩は「司会」すらせず、「参席」したと報じられたのみで、演説姿を写した写真も公開されていない。軍事偵察衛星の打ち上げに失敗し、経済建設でも大きな成果が出ていないなか、最高指導者に責任が集中するように見えることを避けるための策だったかもしれないが、単純に当日の体調不良によるものかもしれない。現段階では判断が難しいが、金正恩が重要会議を「指導」せず、「参席」して「司会」するなどの変化は2020年から見られるものである。

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