中ロ連合軍が形成されれば米国は極めて厳しい状況に置かれる[人民大会堂での会談に先立ち、ブリンケン国務長官を迎える習近平国家主席(右)=2023年6月19日、北京](C)AFP=時事

 外交的な動きには、いろいろと目くらましもあるし脚色もある。そういうものをそぎ落としてしっかりと見ていかないと、本当の動きを見失う。今回のアントニー・ブリンケン米国務長官の訪中も、そういう視点で眺めてみると米中関係の現状が分かってくる。

 今回、米側が熱心にブリンケン訪中を実現しようとしたり、訪中後も中国に対する角のある発言を避けたりしたためか、米側の対中姿勢の変化を云々する向きも一部ある。だが米国の対中政策の基本は不変だ。米側の対中姿勢の明確化は、昨年11月のバイデン・習近平会談において確認されており、今回はそこで合意に達した米中の了解(それぞれの基本政策は堅持しつつ対話を強化し米中関係をしっかり管理する)の延長線上にある。

中国も対話再開を欲していた

 中国側の発表では、ブリンケンは、昨年11月にジョー・バイデン大統領が伝えたこと、つまり「新冷戦」を求めず、中国の国家制度の変更を求めず、同盟関係の強化を通じて中国に対抗せず、「台湾独立」を支持せず、中国と衝突する気はなく、中国との高いレベルの交流を望み、意思疎通を良くし、責任を持って不一致をコントロールし、対話と交流、協力を求める、という約束を遵守すると言ったという。ワシントンから聞こえてくる対中強硬発言とは距離があるように見えるが、これが昨年11月の大統領の発言内容であり、今回の訪中は、このラインに沿って進んだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。