2019年2月広島で開催された「日本理解プログラム」特別講義後、留学生の質疑に応じる北岡理事長(当時)[写真提供・JICA、以下同]

 私は2022年3月末でJICA(国際協力機構)の理事長を退任したが、その後も常勤の特別顧問として勤務している。主な仕事は、JICA開発大学院連携とJICAチェア(JICA日本研究講座設立支援事業)の推進である。最近の海外出張はだいたいJICAチェアに関するものなので、この二つの事業について、今回は述べたい。

JICA事業の中でも重要な国内外の研修

 JICAの事業の中で、重要なものの一つは研修である。技術協力、有償資金協力、無償資金協力が3本柱であって、技術協力の代表的なものが研修事業である。研修には、日本以外の国で行う在外研修と、外国から招いて日本で勉強してもらう国内研修の二種類がある。どちらも重要だが、国内研修の方が人気がある。日本に行けるという単純な理由以外に、みな時間どおりに集まる、ゴミが落ちていない、などの事実を実際に見て、感銘を受ける人が多く、効果は大きい。

 国内研修の中には、数週間の短いものから、学位取得を目指し、日本のどこかの大学院で勉強してもらう留学まで、いろいろな種類がある。大学院で学ぶ場合、英語で、修士を目指すことが多い。テーマは農業、都市計画、防災、国際政治、金融論など、様々である。

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