*会田弘継氏と藤本龍児氏の対談をもとに編集・再構成を加えてあります。

「アメリカニズム」とは何か

会田弘継(以下、会田) 本日は帝京大学准教授の藤本龍児さんに来ていただきました。藤本さんは博士論文を書籍化した『アメリカの公共宗教:多元社会における精神性』(NTT出版)という本で衝撃的なデビューを飾られ、その後も堅実な研究を続けておられます。一昨年、『「ポスト・アメリカニズム」の世紀:転換期のキリスト教文明』(筑摩書房)という本を出版されましたが、この本は現代のアメリカを考える上で、非常に重要な本だと思います。

「ポスト・アメリカニズム」とは一体何なのか。また、いわゆる保守主義が「ポスト・アメリカニズム」とどのように関係するのか、いろいろとお話を伺いたいと思います。

藤本龍児(以下、藤本) 20世紀はアメリカの世紀だったと言われます。大量生産・大量消費、いわゆる「フォーディズム」によって豊かになったアメリカ社会は、現代文明のモデルとされました。アメリカから大量のモノが輸出されると同時に、モノにあふれるアメリカの生活様式も輸出された。そして、アメリカ的な「自由(リベラリズム)」や「民主主義(デモクラシー)」という価値観もあわせて普遍的なものとなっていきました。

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