JAL、ANAがインターネット投票で同一歩調を取ったのも奇異に映る[記者団の取材に応じる乗田氏=2023年3月30日](C)時事

 

 空港設備事業を手掛ける東証プライム上場の「空港施設」が6月29日に開催した定時株主総会で、大株主のANAホールディングスと日本航空(JAL)が乗田俊明社長(65)の取締役再任議案に反対し、乗田氏は辞任した。同社は総会後の取締役会で後任に田村滋朗取締役常務執行役員(63)を選び、同氏は同日付で社長に就任した。

 異例だったのは、社長の人事案件を決めた会場にJAL、ANAの関係者の姿はなく、両社は総会前日までに行われたインターネットによる議決権行使で反対票を投じていたことだ。反対の理由もなかったという。両社は乗田氏だけ否決し、残り8人の案には賛成していた。14%を出資する大株主の日本政策投資銀行は全員の案に賛成していただけに、両社の異例さが際立っている。

 関係者は「乗田氏を再任すると、国土交通省OBの取締役を置かない体制が続くことになる。反対した大株主の両社は経営陣の人心一新と説明しているようだが、波風を立てないように国交省に忖度したのではないか。何年かすれば、国交省OBが取締役に戻ってくる」と話す。また別の関係者は「何かにつけて対立しているJAL、ANAがインターネット投票という同一歩調を取ったのも腑に落ちない。もしもの話だが、背景に国交省から否決の働きかけがあったとすれば大問題だ」と指摘している。

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