プリゴジンの乱はロシアとベラルーシの力関係にどんな影響を与えるのか

 

プリゴジンの1日天下

 6月23日にロシアで発生した「プリゴジンの乱」は、世界を驚かせた。民間軍事会社「ワグネル」を率いるエヴゲーニー・プリゴジン氏が武装蜂起を挙行し、首都モスクワへの進軍を開始した。

 もっとも、ロシアの政治評論家アレクセイ・マカルキン氏も指摘しているように、プリゴジンの「モスクワ進軍」は、イタリアのムッソリーニが1922年に起こした「ローマ進軍」などとは異なり、自らが権力を奪取しようとするものではなかった。プリゴジン自身は「正義の行進」と称しており、ロシア国防省によるウクライナ戦線でのずさんな作戦やワグネル拠点への卑劣な攻撃への抗議を表明することが目的とされた。

 プリゴジンの思惑に反し、ウラジーミル・プーチン大統領は24日の演説で、国家転覆の試みを非難し、武力で鎮圧する構えを示した。内戦も懸念される中、思わぬ仲介者が現れる。隣国ベラルーシの独裁者、アレクサンドル・ルカシェンコ氏であった。

 プリゴジンはルカシェンコの説得を聞き入れ、ワグネル部隊は撤収、武装蜂起は約1日であっけなく収束した。一体、何が起きたのだろうか?

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。