ソニー株がストップ安に追い込まれ、日経平均もバブル後最安値の更新を繰り返した「ソニーショック」以後、出井が「シックスシグマ」を口にすることはほとんどなかった[2003年3月期決算の発表後、記者会見するソニーの出井伸之会長兼CEO(当時)=2003年4月24日](C)AFP=時事

 品質管理を中心に据えた経営改革手法「シックスシグマ(6σ)」の登場は、1980年代初めに遡る。当時、日本のポケットベル市場への参入に失敗した米モトローラが原因分析を進めた結果、劣悪な品質が元凶と断定。その対策として、日本のQC( Quality Control、品質管理)活動を参考に統計的な手法を取り入れて体系化した「全社的な品質改善運動」を指す。2000年代初頭からリーマン・ショックに見舞われる2008年まで、この「6σ」が米国内のみならず、日本を代表するエレクトロニクス産業の間で魔法の呪文の如く珍重されたのは、「20世紀最高の経営者」(米フォーチュン誌)と賛美されていた米ゼネラル・エレクトリック(GE)元会長、ジャック・ウェルチ(1935〜2020年)が熱心に唱導行脚していたからである。

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