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【前回まで】財源を国債に逃げないだろうね――宮城教授の問いに、主税局の土岐は、防衛費は国民一人一人が負担することに意味があると答える。だが国民の理解を得るのが難題だった。

 

Episode3 リヴァイアサン

 

3(承前)

「なあ、そろそろ『ブル江島』の出番じゃないのか」

 宮城が事あるごとに口にする言葉だ。だが、このところ、「こういう危機には、江島しかいないのでは?」という江島元総理の再登板を求める声が、財界からも上がっている。

「それがベストだと思いますが、今や無所属の一国会議員ですからねえ。保守党に復帰でもしてくれない限り、厳しいでしょうね」

「それについては、ちょっとしたアイディアがあるんだけどな」

 約30万人のフォロワーを持つインフルエンサーの宮城が、嬉しそうに言った。

「先生、それも気になりますが、それよりもまず、財源確保です。今のところの落としどころは、法人税と所得税に、少しだけ上乗せして徴収する、復興税のパターンです」

 所得税収額は約20兆円、法人税額は約13兆円だ。例えば、現在徴収している復興税と同額の2.1%を徴収すると所得税で4200億円、法人税はかつて3年間だけ導入し、結局経団連の反対により2年でやめた復興税10%を再び徴収するのは無理なので、仮に所得税と同じ2.1%程度となると約2700億円、計約6900億円が徴収できる。しかし、これではまだ不足なので、倍額の4.2%まで持って行ければ、約1兆3800億円となり、今年度分は、クリアできる。

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