健全な選挙を求めて300人ほどのカンボジア人が銀座を行進した(以下写真すべて筆者提供)

野党排除で加速する独裁体制

 「Freeカンボジア! Freeデモクラシー! Fairエレクション!」

 声を上げて銀座の街を歩くのは、日本に住むカンボジアの人々だ。梅雨の合間の青空が広がった6月25日、およそ300人が集まり、「独裁反対」「公正な選挙を」といった日本語のプラカードを手に、祖国の現状を日本人に訴える。

日本ではあまり知られていないカンボジアの実情を訴える。日本政府によるカンボジア支援がフン・セン政権を潤しているという批判もある

 カンボジアではそれほどに、いま民主主義が失われつつある。

 1985年に首相に就任して以来、40年近くに亘って権力を握り続けるフン・セン氏(70)の独裁は強化される一方だ。7月23日に行われる予定の総選挙からは、有力最大野党であるキャンドルライト党の参加資格が剥奪された。表向きは「書類の不備」という理由だが、昨年6月の地方選挙で22%の得票率を獲得したキャンドルライト党を総選挙から排除する狙いがあるとみられる。

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