ウクライナ復興ドナーが注視すべきゼレンスキー政権内「権力の並列構造」
2023年7月12日
2022年2月24日のロシアによるウクライナ全面侵攻から500日が経過した現在、諸外国及び国際機関によって地方のライフラインや教育、医療等のインフラ復興が既に開始されている。戦時下という困難な状況で早くも実施が進み、戦後本格化する多数の復興プロジェクトは、昨年末に統合されたウクライナ政府の地方・国土・インフラ発展省が調整する[1]。
この莫大なマネーが注入され、非常に広範な分野にわたり、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめとする高官が「現代欧州における最大の経済プロジェクト」[2]と位置づけるウクライナ復興に向け、政権内部の体制はどのような形となっているのだろうか。
拡大するイェルマーク大統領府長官の権限
ウクライナにおける「行政権力機関制度における最高機関」[3]は首相を長とする閣僚会議(Кабінет міністрів/Cabinet of Ministers)であって、この下に大臣ら率いる各省をはじめとする行政機関が置かれる。通常、ウクライナで「政府(Уряд/Government)」と言えばこの閣僚会議を指す。
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