「イェルマークの部下(люди Єрмака/Yermak’s men)」と呼ばれる人々が要所で権限を有している[イェルマーク大統領府長官=2022年9月13日、ウクライナ・キーウ](C)EPA=時事

 

 2022年2月24日のロシアによるウクライナ全面侵攻から500日が経過した現在、諸外国及び国際機関によって地方のライフラインや教育、医療等のインフラ復興が既に開始されている。戦時下という困難な状況で早くも実施が進み、戦後本格化する多数の復興プロジェクトは、昨年末に統合されたウクライナ政府の地方・国土・インフラ発展省が調整する1

 この莫大なマネーが注入され、非常に広範な分野にわたり、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめとする高官が「現代欧州における最大の経済プロジェクト」2と位置づけるウクライナ復興に向け、政権内部の体制はどのような形となっているのだろうか。

拡大するイェルマーク大統領府長官の権限

 ウクライナにおける「行政権力機関制度における最高機関」3は首相を長とする閣僚会議(Кабінет міністрів/Cabinet of Ministers)であって、この下に大臣ら率いる各省をはじめとする行政機関が置かれる。通常、ウクライナで「政府(Уряд/Government)」と言えばこの閣僚会議を指す。

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