今年6月、来日して外国特派員協会で記者会見する柯文哲・台湾民衆党党首 (C)時事

 

 台湾リスクといえば、まず浮かぶのが中国による武力統一、すなわち「有事」リスクであろう。確かに、中国の歴代政権は「一つの中国」原則、つまり、世界で中国はただ一つ、台湾は中国の不可分の一部であり、中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府との認識を堅持している。そして、習近平政権は、今年3月の全人代(全国人民代表大会)でも「祖国統一のプロセスを揺るぎなく推進する」とし、中台統一に向けた強い意志を改めて示した。

合理的ではない「武力侵攻」

 問題は、その統一の方法である。習近平国家主席は、昨年10月の共産党大会で台湾との「平和統一」の方針を掲げた一方で、「決して武力行使を放棄せずあらゆる必要な措置をとるという選択肢を残す」とし、武力による統一の可能性を否定しなかった。その後、習主席の「新年のあいさつ」では「両岸の同胞が歩み寄り、手を携えて共に歩み」と、併存を印象付け統一色を薄める表現を使う場面もあったが、上記の通り、その後も統一路線は変わっておらず、ただ「一国二制度」の範囲内で「共に歩む」ことを目指していると考えておくべきだろう。

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