米中、「安全装置」なき敵対――第3次大戦を防ぐには
2023年7月20日
世界はきな臭い空気に覆われている。近現代史を3つの期間に区切るとすれば、戦前、戦時(大戦期)、戦後に分かれる。第2次世界大戦後から近年まで、国際社会は「戦後」を生きてきた。国連を始めとする戦後システムのもと、大戦の再発はかろうじて防がれ、世界は繁栄することができた。
しかし、昨年2月24日、ロシアがウクライナに侵略したことによって、戦後は終わってしまった。国連安全保障理事会の機能は壊れ、私たちは「戦前」に突入したといえる。人類は歴史の針が「戦時」(第3次大戦)に進むのを防げるか。本稿では主に米中の視点から、その見通しについて考えてみたい。
「恒久的に準戦時化」という欧州の懸念
5月にロシアに隣接するエストニア、6月には英国を訪れ、政治家や軍幹部、識者らに取材する機会があった。そこで改めて痛感したのが、ウクライナでの戦争が世界にもたらしている脅威の深刻さである。欧州ではロシアへの対応を誤れば、戦火がさらに広がり、第3次大戦への扉が開きかねないという懸念が漂っている。遠く離れた日本ではそうした切迫感は薄いが、残念ながら欧州の認識の方が現実に近いように思う。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。