7月19日付紙面に掲載された、北朝鮮の電力関連施設(『労働新聞』HPより)
 

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記の動静報道が減少しているなか、「災害性異常気候」についての記事が目立つ。例えば、7月19日付の1面下段には、「災害性異常気候に徹底して対処することは党組織の当面の任務」と題して、「わが党において人民一人一人の生命は何よりも大切で、人民が健在で健康でこそ党もあり国家もあり、この地のすべてのものがあります」との金正恩語録を伝えている。

 異常気象のなかでも特に強調される猛暑については、エアコンが広く普及していないことが背景にある。エアコンを設置していたとしても、頻繁な停電で十分な稼働は見込めない。公共の場所に設置される貴重なエアコンには、「金正恩同志が送ってくださった配慮設備」とのステッカーが貼られるほどである。記事では、異常気象への諸対策が「経済政策貫徹を確固として担保する」ことにも資すると主張する。

 同日付第6面には「『暮らせない! ひっくり返そう! 尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権退陣せよ!』、『戦争と新植民地を防ごう!』、『狂った奴には棍棒が薬だ!』:傀儡地域で逆徒退陣闘争が激烈に展開」と題する記事が掲載された。尹錫悦退陣を要求する韓国でのデモの様子を30枚以上の写真とともに報じたのである。最終面の第6面は、今春まで新型コロナウイルス関連記事が幅を利かせていたが、感染症についてはついに全く報じられなくなっており、その代わりに紙面を埋めているのが「傀儡地域」の情勢である。27日の「祖国解放戦争勝利」(朝鮮戦争休戦)70周年を直前に控え、米韓への非難が続く。

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