欧米各国が支援を表明しているF-16戦闘機をモチーフにした切手セットに空軍兵士のサインを求める人々。切手にはクレムリンの塔が戦闘機の形の穴が開いたおろし金で削り消される様子が描かれている[2023年8月4日、ウクライナ・キーウ](C)AFP=時事

[承前]

 ウクライナの地上兵力は航空支援なしでの攻撃を余儀なくされているため、最前線での防御陣地をなんとか突破したとしても、ロシアは後方の予備兵力の戦車部隊を派遣してその突破を食い止めることができる。阻止攻撃ができれば、そうした戦車部隊が前線に移動できないようにすることができるが、ウクライナ空軍はそうした作戦を行うことができていない。ゆえに、ロシアとしては比較的有利な形で地上での防御戦闘を展開できている。

3.打開の可能性は?

■クラスター弾の効果は限定的

 この膠着した現状を打破する1つの手段として、米国はクラスター弾の提供に踏み切った。クラスター弾は、1発の砲弾や爆弾から数十発の小型爆弾を広範囲に散布する。そのため、ある程度の広がりを持った「面」を制圧することができる。米国が提供したのは155mm榴弾砲から発射するクラスター弾だが、これは戦車の装甲も貫ける小型爆弾を半径80m位の範囲に散布させる。

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