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【前回まで】主税局調査課の土岐は、事務次官や主税局長・我妻らと共に、保守党の防衛問題特別チームに呼び出された。梶野元総理の後継を狙う三神は、増税は認めないと息巻く。

 

Episode3 リヴァイアサン

 

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 保守党本部の玄関ロビーで、土岐と我妻は枚岡らと別れた。別のミーティングがあるからだ。

 岡山と枚岡が乗り込んだ次官車を見送ると、我妻と土岐は、局長車で経団連会館に向かった。

 会館の1階で、我妻は「ちょっとコーヒーブレイクしますか」と言って、自販機で二人分の缶コーヒーを買うと、ベンチに腰を下ろした。

「怒り心頭に発すってところかな、土岐君。でも、大丈夫だよ。あの人たちの意見は無視すればいいから」

 ブラックコーヒーを一口飲んでから、我妻が嬉しそうに言った。

「昨日、私と岡山さんが官邸に呼ばれたでしょ。そこで、総理からお許しを得たんだ」

 何も決められない「フラフラ殿下」が、三神ら「過激派4人衆」を無視せよと命じたというのは、信じがたかった。

「厳密には、官房長官が仰る隣で、総理が頷いたんだがね」

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