事件発覚後、LIBOR改革に向けた報告書を発表した英金融サービス機構のマーティン・ウィトレー氏(C)EPA=時事

 

 当局に摘発された本村哲也氏(51)の元同僚や他の金融機関の元トレーダーは、それぞれ過酷な境遇に直面していた。ある者は米国の陪審裁判で有罪評決が下され、禁錮刑が科された。またある者は母国オーストラリアで逮捕された後、米国に引き渡され、そこで有罪答弁をして収監された。本村氏と同じく、自国にとどまり、国際指名手配されている者も数人いた。

 それが2017年、潮目が変わり始める。米国で禁錮刑を言い渡されていた本村氏の元同僚の英国人トレーダー2人が控訴した結果、2人とも有罪判決が取り消されたのだ。2人は英国でも捜査対象となり、その過程で証言を強制されていた。米連邦控訴裁は、そうした証言が米国の裁判でも使われたことについて、憲法修正第5条(法の適正な手続き規定)に反すると判断した。

 英国内でLIBOR事件の「首謀者」とされていた、スイスの銀行大手UBSと米シティグループの各東京支店を渡り歩いた英国人元トレーダーのトム・ヘイズ氏も、英刑務所での11年に及ぶ刑期(LIBOR事件関連では最長)のちょうど半ばに差し掛かった2021年に釈放された。ヘイズ氏は米国でも起訴されていたが、2022年にその起訴も取り下げられた。

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