「上司が部下にけしかけてくるんです。『どうするんだ、どうするんだ』って」―― 写真:筆者提供

 各地のJA(農業協同組合)職員が証言するところでは、自爆営業のために捨てる金は年間で数十万円は当たり前で、多い場合には数百万円に達している。JAが共済(保険)事業への依存度を高めるなか、ノルマも過大になる傾向にある。それを苦にして、離職する職員が後を絶たない。

 農林水産省は2023年1月27日にJA共済の監督指針を改正。職員や生計を同じにしている親族が契約した共済の保障内容が、その職員世帯の経済や家族構成などの状況に照らして行き過ぎたものであれば、それを「不必要な共済契約」と定めた。

 さらに「不必要な共済契約」の要因が次の三つのいずれか一つにでも当てはまる場合には、「不祥事件」として扱うことになった。すなわち職員が契約するに当たって、(1)上司から過度な圧力を受けた、(2)共済の営業に関する知識や経験に乏しいうえ、十分な教育や訓練を受けていなかった、(3)職員の意向を反映したように偽装された―――という三つである。

「把握していない」と回答したJA福井県

 ところが各地のJAの職員からは、監督指針の改正後も、この三つのいずれにも該当する事態が引き続き起きているという嘆き節が聞こえてくる。

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