朝鮮中央通信は8月21日、朝鮮人民軍海軍を視察する金正恩委員長の写真を配信した (C)EPA=時事

 

 北朝鮮は8月24日未明、軍事偵察衛星「万里鏡1号」を発射。しかし、飛行中に異常が起きて軌道への投入に失敗したと発表した。

 日本政府は沖縄県を対象にJアラートを発令、いくつかの日本メディアでは「弾道ミサイルの発射」とも報じられたが、得られている情報から分析する限り、今回発射されたのは北朝鮮の発表通り「軍事偵察衛星」とみるべきだろう。というのも、北朝鮮は2021年の朝鮮労働党第8回大会において「国防科学発展及び武器体系開発5カ年計画」(以下、国防5カ年計画)を提示、その中で「軍事偵察衛星」の開発と運用化を目標のひとつとして掲げているのである。

「キルチェーン」の完成に不可欠な「目」

 金正恩(キム・ジョンウン)委員長は国防5カ年計画において、核兵器の小型・軽量化、戦術核兵器、超大型核弾頭、極超音速滑空飛行弾頭、固体燃料推進式大陸間弾道ミサイル(ICBM)、複数個別誘導再突入体(MIRV)、無人偵察・攻撃機、原子力潜水艦、軍事偵察衛星の開発と運用化といった様々な目標を謳っている。このうち、原子力潜水艦をのぞけば、実際の性能や運用能力はさておき、そのほとんどがすでに開発され、一部は既に実戦配備まで進められている。北朝鮮はこの他にも、サイバー・電子戦能力の強化や、一部の陸上と海上通常兵器の更新も進めている。

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