超低金利下では運転資金の貸し付けを通じた経営内容のチェックが働きにくい[記者会見するジャニーズ事務所の(右から)藤島ジュリー景子氏、東山紀之氏、井ノ原快彦氏=2023年9月7日、東京都千代田区](C)時事

 ジャニーズ事務所がようやく記者会見を開いた。会見まで姿を現さずにいた藤島ジュリー景子社長が出席し、自分は知らなかったという姿勢を崩さないまま、その場で社長退任を発表。今後の責任追及の矢面には新社長を立たせるのだろう。だが、自身は社長を辞めても会社の株式は100%保有し続ける。「経営を刷新する」とは言うものの、オーナーであるという厳然たる事実に変わりはない。

 この構図、1カ月半前に記者会見を開いたビッグモーターと瓜二つである。兼重宏行氏は社長を辞めたものの、持株会社を通じ、副社長だった長男と共に株式を100%保有している。経営を刷新するにも、株主がウンと言わなければ取締役ひとり選べない。オーナーとしての地位は何ら変わっていない。

 ビッグモーターはグループで6000人の従業員を抱え、売上高は7000億円に達するとされる。ジャニーズ・グループも芸能界で圧倒的な存在で、売上高などはまったく公表していないが、1000億円規模だと見られている。ともに社会的に大きな影響力を持つ「大企業」にもかかわらず、株式を上場しておらず、実態は「個人会社」の域を出ない経営スタイルをとってきた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。