国民健康保険制度強化プロジェクトにおける専門家指導の様子(写真提供・JICA、以下同)

1960年代から始まったスーダン支援

 さて、北部のスーダンの方に対する協力はどうだったのか。南北分離以前に遡って述べてみたい。

 日本のスーダンに対する支援は1960年代から始まっている。しかし、JICA(国際協力機構)がスーダンに事務所をおいたのは遅く、1989年だった。しかも、南北の紛争と国内の人権問題のため、日本は欧米諸国とともに1992年から、緊急人道支援以外の二国間支援を原則として停止した。

 1992年までの日本の支援は、有償協力107.42億円が道路、鉄道、水道などの分野に、693.44億円の無償援助が、食料援助、上下水道整備、イブン・シーナ病院などに充てられた。また、研修生受け入れ、専門家派遣、機材供与など、技術協力として50.74億円が使われた。

 しかし、ダルフール問題をめぐって、国連はスーダンに制裁を科し、JICAも支援をとめていた。

井戸の水位モニタリングの様子

 2007年7月、JICA事務所を再開した。南スーダンの独立へのメドが立ち始めたからだった。大丈夫だろうかという声もあったが、当時の緒方貞子理事長が、支援を必要としている人がいる限り、行くべきだと決断した。当初はわずか三人の小さなオフィスで、それもハルツームからジュバに出張して仕事をすることが多かった。南の方に仕事が多かったからである。

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