新・日本人のフロンティア (25)

内紛と混乱の中でなし得る支援協力とは――スーダン・南スーダン(下)

執筆者:北岡伸一 2023年9月22日
タグ: 日本
エリア: アフリカ
国民健康保険制度強化プロジェクトにおける専門家指導の様子(写真提供・JICA、以下同)
紛争と人権問題によって、一時ストップしていたスーダンへの支援は、2007年から再開された。特に力を入れたのは、欧米諸国が手をつけない開発支援だ。バシール政権の崩壊とその後の混乱で退避を余儀なくされたが、それでも今後も可能な限り、支援を続ける用意はある。(本稿上編はこちらからお読みになれます)

1960年代から始まったスーダン支援

 さて、北部のスーダンの方に対する協力はどうだったのか。南北分離以前に遡って述べてみたい。

 日本のスーダンに対する支援は1960年代から始まっている。しかし、JICA(国際協力機構)がスーダンに事務所をおいたのは遅く、1989年だった。しかも、南北の紛争と国内の人権問題のため、日本は欧米諸国とともに1992年から、緊急人道支援以外の二国間支援を原則として停止した。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top