2024年には世界で販売されるiPhoneの4台に1台がインド製になるとの予測も[2023年9月22日、インド・チェンナイ](C)EPA=時事

 世界経済の牽引車の歴史的交代がおよそ30年ぶりに進みつつある。1990年代半ば以降、グローバル企業の生産拠点を引き寄せ、輸出、雇用を拡大、高成長を続けてきた中国が失速、代わってインドが幅広い産業分野で外資の直接投資を集め、「世界の工場」に名乗りをあげている。20世紀後半にアジアでは日本から韓国・香港・シンガポールなどアジアNIES(新興工業経済地域)へのシフト、ASEAN(東南アジア諸国連合)の台頭、中国の勃興という成長国・地域の連続的な交代が起きたが、2020年代に入って、インドが次の主役になろうとしている。

 ただ、今回の交代劇は労働集約型産業に始まり、より高付加価値分野に段階的に進む従来の産業シフトと異なり、半導体、電子デバイス、スマホなど先端産業の移転も一斉に進む“産業雪崩”の様相を示している。米中対立による産業分断、インドの豊富な理工系人材がグローバル企業の劇的なインド傾斜を引き起こす要因となっている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。