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【前回まで】対馬沖で地元漁船と衝突した台湾海軍の潜水艦を、中国軍が拿捕! 「自国の潜水艦を保護した」と言い張る中国を、日米台は見過ごすしかないのか。衝撃と緊張が走る。

 

Episode4 カナリア

 

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 草刈らがいるプレスルームでは、広報課長からのレクチャーが始まっていた。

 中国の艦船が、台湾の潜水艦を曳航していること、中国のフリゲート艦が事故で海に放り出された漁船員を救出したという発表がなされた。

 だが、それだけでは誰も納得しない。

 ここにいるのは、安全保障担当記者なのだ。

 海自の対応に質問が集中した。

「現在のところ、何の予定もございません。まもなく、大臣も参加した対策会議が行われます。それによって、新しい決定等がございましたら、発表致します」

 疲れを隠せない広報課長が、そこで会見を終えた。

 昨日からずっと寝ていない草刈も、眠くて頭が回らないが、来たからには、何らかのネタを仕入れる必要があった。

「暁光さん、凄いのを飛ばしてくれたよねえ。あれは、どこから?」

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