自軍を信頼できない習近平に武力行使のオプションはあるか

Foresight World Watcher's 4Tips

執筆者:フォーサイト編集部2023年9月29日
このうち二人が行方知れず[国務委員に選出され宣誓する(左から)秦剛前外相、呉政隆国務院秘書長、李尚福国防相=2023年3月12日、中国・北京の人民大会堂](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。中国の李尚福国防相の動静が途絶えて今日でちょうど1カ月がたちました。7月末には「ロケット軍」の司令官と政治委員が突如交代し、同軍の10人以上の幹部が取り調べを受けているとも伝えられます。人民解放軍と中国共産党の間の特異な政軍関係は中国情勢を捉える最重要のポイント。その習近平体制における機微を米国防総合大学(NDU)国家戦略研究所(INSS)のジョエル・ウースナウが分析しています。本欄では要旨を圧縮してお伝えしますが、中国の武力行使判断にこの混乱がどのような影響を持つかまで視野に収めるこの論考は、ぜひ原文を読まれることをお勧めします。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

Why Xi Jinping Doesn't Trust His Own Military【Joel Wuthnow/Foreign Affairs/9月26日付】

「ここ2カ月の間に、国防相や大陸間弾道ミサイル(ICBM)部隊の指導者など中国・人民解放軍(PLA)の高級将官が相次いで表舞台から姿を消した。習近平国家主席が解放軍を支配していることや、その就任以来続く不正行為の根絶への冷酷なコミットメントを踏まえれば、彼らの失踪は驚くべき事態だ」
「習と中国共産党は長い間、解放軍にかなりの自治権を認めてきた。解放軍に高度な独立性を認めることは、習と中国共産党への政治的な服従を確保するのに役立つが、文民によるチェック・アンド・バランスがないため、不正行為や説明責任の欠如という膿が生じる条件にもなっている。最近の粛清の詳細はまだ不透明だが、一部の解放軍最高幹部に対する習の信頼の欠如を反映している」

 これは、米国防総合大学(NDU)国家戦略研究所(INSS)の上級研究員、ジョエル・ウースナウ(「ウスノフ」との日本語表記もあり)が同「フォーリン・アフェアーズ」誌サイトに寄せた「なぜ習は自軍を信頼していないのか」(9月26日付)の書き出しだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。