ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は9月20日に「今後ウクライナに武器は送らない」と発言、直後にアンジェイ・ドゥダ大統領が訂正に追われるなど物議を醸した[韓国の韓徳洙首相と会談後、記者会見に臨む。同国は韓国から大量の兵器を購入する契約を結んでいる=9月13日、ポーランド中部の空軍基地にて](C)EPA=時事

 2023年10月15日にポーランドで総選挙、および国民投票が行われる。今回の総選挙は、2015年以降長期にわたって政権を担ってきた保守・ポピュリスト政党の「法と正義」(PiS)にとって、政権を維持できるかどうかの正念場である。政権奪還を目指す民主・自由主義政党の「市民プラットフォーム」(PO)は、選挙連合「市民連合」(KO)を組織し、さらにこの連合を超えた他の野党とも提携しながら激しく追い上げている。当初は「法と正義」の勝利が揺るがないように見えたが、選挙終盤になって総選挙の行方は混沌としてきた。

 ポーランド人は何に悩み、どのような決断を下そうとしているのであろうか? ポーランドを取り巻く国内外の情勢、歴史的背景を繙きながら、ポーランドの苦悩の深層に迫りたい。前編では、ロシアのウクライナ侵攻戦争がポーランドに及ぼす影響を念頭に、ポーランド側から見たウクライナ問題を解説する。

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