中国政府は景気回復のためにも、人民の生活に対する期待を満足させるためにも、個人消費の拡大が重要だと認識している[荷物を抱えた若者らが集まる中国の北京駅=7月15日、北京市](C)時事

 不動産市場の混乱が収まらず未だ出口が見えない中国経済だが、中国政府および共産党は今年7月、それまでの不動産市場対策や金融緩和を中心とする景気刺激策とは毛色の異なる3つの政策を相次いで打ち出している。まずは7月19日の「民営経済の発展・壮大化に関する党中央・国務院意見」とする民間経済の活性化策である。民間部門に景気回復の一翼を担わせることで、短期的には景気の回復、中長期的には成長力の底上げを狙ったものだと思われる。

 そして7月25日には、「外国投資誘致の強化に関する意見」として、重点分野の外資導入を強化し、政府調達への参加の保障、知的財産権の保護の強化、外国籍従業員の滞在政策の見直し、税制優遇、発展奨励分野への投資の支援などに力を入れる方針を示した。このところ減少が目立つ対中直接投資を回復させ、景気の底上げや成長の源泉となる技術力の強化を図るものとみられる。

 7月28日には、政府が「消費の回復・拡大に関する措置」を公布、景気回復のためにも人民の生活に対する期待を満足させるためにも個人消費の拡大が重要であるとし、6つの重点分野に関して具体的な方向性を示した。この重点分野については後ほど詳述する。

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