アメリカがリソースの制約に直面しているのは疑いようのない事実[ネタニヤフ首相との会談に臨んだバイデン大統領=2023年10月18日、イスラエル・テルアビブ](C)EPA=時事

 地政学的にみて、アメリカは米ソ冷戦終結以来の約30年間で最も厳しい状況に置かれている。ヨーロッパでは「無期限に支援する」としたウクライナが反転攻勢に苦しみ、中東ではハマスがイスラエルを攻撃し、武力紛争が激化し拡大しかねない緊迫した状況が続く。アジアでは、中国が台湾に対して軍事的・心理的威圧をかけ、東シナ海や南シナ海でも威嚇行動を続けている。アメリカは2024年11月に大統領選挙を控え、これから国内政治上の対立が深まる時期に入るが、バイデン政権は地域紛争に対応するための支援を、過熱する政争にできるだけ晒さないようにすべく、ウクライナ向け軍事援助約614億ドル、イスラエル向け軍事援助約143億ドル、ウクライナ・イスラエル・ガザ地区向けの人道支援約100億ドル、台湾及びインド太平洋地域向けの軍事援助等約74億ドルなどを含む総額1059億ドル(約16兆円)に上る緊急予算を審議・採択するよう連邦議会に要請した。

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