ロシアが一方的に併合した南部クリミアのザリフ造船所に対する11月4日の攻撃では、フランスが供与したSCALPミサイルの使用が示唆されている[MBDA社工場内に展示されたSCALPミサイル=2023年3月20日、フランス・ブールジュ](C)AFP=時事

 ウクライナによるロシアへの抵抗、さらには反転攻勢を可能にしているのがNATO(北大西洋条約機構)諸国を中心とする国際社会からの武器供与であることは明らかである。その意味でウクライナは自力では戦えない。

 それゆえにヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を筆頭とするウクライナ政府は、外国からの武器供与の確保に国家的課題として取り組んできた。その努力は大きい。ウクライナは新たに供与された武器を効果的に使用できる能力を示すとともに、ロシア領への攻撃に使用しないなどの約束を概ね守ってきたといわれる。これらがNATO諸国による武器供与を促す要素になってきた。

 しかし、どのような武器をいかなるタイミングで供与するかは、結局のところ供与する側の事情によって決定される。その基礎は戦況に応じた作戦上の必要性という軍事的考慮だが、実際には政治・外交の比重が大きい。まさに「武器供与外交」である。

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