2020年、コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍によりバグダッドで爆殺されたことに対して、イランの人々はアメリカとイスラエルの国旗を燃やして抗議した[2020年1月6日=イラン・テヘラン](C)AFP=時事

 ハマスの奇襲直後からガザ地区への激しい空爆を続けてきたイスラエル軍は、3週間後の10月27日から28日にかけて本格的な地上作戦に着手。北東部、北西部、東部中央の3方向から侵入した部隊はガザ北部の市街地を取り囲むように展開。11月6日現在、北西部から海岸線を南下した部隊が急速に進軍し、一部で市街戦が始まっている。ガザ北部にはまだ約40万人の住民が残っており、巻き添え被害の拡大が懸念される。

 この状況は、そもそも10月7日にハマスともう一つのガザの民兵組織「パレスチナ・イスラム聖戦」(PIJ)がイスラエルを奇襲したことが原因だが、奇妙なことがある。

 ハマス軍事部門「カッサム旅団」は、もともとそれほど戦闘力の高い集団ではなかった。かつては完全な地下組織で、せいぜい少数メンバーがイスラエルに潜入して自爆テロを行うくらいだったし、ハマスがガザを支配するようになって部隊化した後も、イスラエル軍の追撃を回避するため常設の軍隊とはならず、身元を秘匿した数人の「細胞」を最小単位に編成する秘密組織スタイルがとられた。

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