李克強の急死を受け、北京大学時代の元同級生や同窓生が次々と追悼の文章を発信した[全人代第4回全体会議で、李克強前首相(右)と握手する習近平国家主席(左)=2023年3月11日、中国・北京の人民大会堂](C)AFP=時事

 中国の李克強前総理(68)が10月27日、心臓発作で急死した。休養先の上海での水泳中の出来事とされる。その直後から、李が高校生まで過ごした故郷・安徽省合肥市の旧居前や、省長を務めた河南省鄭州市の広場などで追悼のための市民の列は途切れることはなく、周辺は花の海になった。詰まるところ、圧政を続ける習近平共産党総書記(国家主席)に対する市民の不満と抗議の裏返しでもある。

 総理として10年間、権力や権限、権威まで次々と剥奪され、「定年」前に引退し、その後わずか7カ月で失意のまま逝った「悲劇の総理」。しかし李克強は、習近平という異常な「皇帝」の下で、その絶対的な権力に完全服従せず、中国は「改革開放を進めるべきだ」という理想を持ち続け、常に理性と常識を忘れず、わずかな抵抗を続けた。習近平は李克強のこの政治姿勢を怖れたのではないか。

 同時代を生きた習近平と李克強を分けたものは何なのか。

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