羽田空港に到着した武漢からの邦人避難第1便付近。帰国後の検査で第1便から3人の感染が確認された[2020年1月29日](C)AFP=時事

 

政府の決定

 2020年1月28日、安倍晋三総理大臣(当時)は衆議院予算委員会で中国・武漢の在留邦人の帰国のために、現地に向けてチャーター機を派遣すると発言し、同日夜に第1便が羽田空港を出発した。総理は、「帰国後は一人一人の健康状態を改めてしっかりと確認する。その後も2週間、外出を控えていただき、健康状態の確認を行うなど、ケアに万全を期していきたい」と述べた。

 総理の発言に先立って、武漢における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を憂慮した日本政府は、すでに滞在中の邦人を緊急避難的に帰国させるための調整を中国政府と開始していた。その目処が立ったため、帰国希望者にチャーター便が手配された。

 1月29日の第1便で206人、30日の第2便で210人、31日の第3便で149人が帰国した。帰国後の検査で、第1便から3人の感染が30日までに確認された。帰国者の中に感染者が含まれている可能性が考えられるため、帰国後の対応については、一定期間、定められた場所に滞在してもらい、検査で陰性が確認されてから自宅などに戻ってもらうことになった。

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