埼玉県南部の川口市および蕨市には数千人のクルド系トルコ人が居住すると見られている[2023年07月23日、JR川口駅前](C)時事

 埼玉県南部の川口市および蕨市にはクルド系トルコ人(以下クルド人)数千人が居住すると見られている。これらの人々は、「トルコで迫害にあって逃れてきて、日本の出入国在留管理庁(入管)から冷酷な処遇を受けながらも、帰るに帰れないでいるかわいそうな人々」といったイメージが一般的ではないか。ただ、現地で取材をすると実態はかなり違う。

 ここでは、川口市で解体業を事実上営むクルド人A氏のインタビューを紹介したい。在日クルド人の発想がよく理解できるように思われるし、出入国管理行政の問題点もまた浮き彫りにされていると思うからだ。

 発言は、在留資格を何とか得ようとするための自己正当化の色彩が強く、そのまま受け取れないところもある。また、A氏の日本語は、理解が困難なところがある。難しい用語は使いこなせないようだ。記事では間違いないだろう、という部分をできるだけ正確に記述するよう心掛けた。

「送還忌避」のため5回目の難民申請中

 埼玉高速鉄道線の戸塚安行駅は、東京都心の永田町駅から40分余り。川口市の北東部に位置する。周囲は雑木林や竹林が残るかつての農村風景と、住宅が混在する。

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