11月16日、平壌国際空港にてコズロフ天然資源環境相(左)を尹正浩(ユン・ジョンホ)対外経済相(右)らが見送ったが、金正恩総書記の動静は不明だ(『労働新聞』HPより)
 

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の動静報道が1カ月ほど途絶えるなか、11月17付1面トップは、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理がアレクサンドル・コズロフ天然資源環境相を団長とするロシア政府の訪朝団と「同志的で親善的な雰囲気のなかで」談話したとの記事を掲載した。金正恩は、7月にセルゲイ・ショイグ国防相を外国要人として初めて自らの執務室に招き入れた。先月訪朝したセルゲイ・ラブロフ外相に対しては、執務室に入れるほどの歓待ではなかったものの会談はあったが、今回は接見すらなかった。歓待の度合いが目に見えて低下しているのは、賓客の主管分野の違いによるものと考えられるが、ロシアとの関係に何らかの変化があるのか、もしくは金正恩の動静報道が途絶えていることと関連しているのか、いずれの可能性も排除はできない。

 12日付第2面上段には、「人民を魅惑する偉人の世界:慶祝行事に繰り返しお呼びいただいた特別代表たち」と題する記事が掲載された。「人民を魅惑する偉人の世界」は、金正恩の「偉大性」を身近なエピソードで語る、昨年10月16日付から始まった不定期連載である。今回は、金正恩が、2月の朝鮮人民軍創建75周年や7月の「祖国解放戦争勝利」70周年祝賀行事に、軍に貢献した一般市民を「特別代表」として招待したことを描いた。地方居住者にとっては平壌を訪問すること自体が誉れとされるなか、金正恩は「援軍美風熱誠者」を労って、平壌滞在のほか平安(ピョンアン)南道にある陽徳(ヤンドク)温泉文化休息地にも招く「格別の愛を施した」という。金正恩の肝煎りで竣工したこの温泉リゾートは、海外からの観光客も見込んでいた。しかし、2020年1月10日のオープン直後に新型コロナウイルス感染症対策で国境を封鎖することになり、現在までは金正恩の「人民愛」を自国民に体感させる場所として活用されてきた。

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