Weekly北朝鮮『労働新聞』 (39)

露コズロフ天然資源環境相ら訪朝も金正恩は接見せず(2023年11月12日~11月18日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年11月20日
エリア: アジア
11月16日、平壌国際空港にてコズロフ天然資源環境相(左)をを尹正浩(ユン・ジョンホ)対外経済相(右)らが見送ったが、金正恩総書記の動静は不明だ(『労働新聞』HPより)
金徳訓総理がロシア政府の訪朝団を迎えたが、金正恩の動静は今週も伝えられなかった。他方、昨年から始まった金正恩の「偉大性」を語る不定期連載では、軍創建75周年に、功績ある「特別代表」らを温泉リゾートに招待したエピソードが描かれた。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の動静報道が1カ月ほど途絶えるなか、11月17付1面トップは、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理がアレクサンドル・コズロフ天然資源環境相を団長とするロシア政府の訪朝団と「同志的で親善的な雰囲気のなかで」談話したとの記事を掲載した。金正恩は、7月にセルゲイ・ショイグ国防相を外国要人として初めて自らの執務室に招き入れた。先月訪朝したセルゲイ・ラブロフ外相に対しては、執務室に入れるほどの歓待ではなかったものの会談はあったが、今回は接見すらなかった。歓待の度合いが目に見えて低下しているのは、賓客の主管分野の違いによるものと考えられるが、ロシアとの関係に何らかの変化があるのか、もしくは金正恩の動静報道が途絶えていることと関連しているのか、いずれの可能性も排除はできない。

 12日付第2面上段には、「人民を魅惑する偉人の世界:慶祝行事に繰り返しお呼びいただいた特別代表たち」と題する記事が掲載された。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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