今週もお疲れ様でした。日本ではあまり話題になりませんでしたが、9.11米同時多発テロの首謀者であるウサマ・ビンラディンが21年前に発したメッセージ「アメリカへの手紙(Letter to the American People)」が、SNSで爆発的に拡散されるという出来事が今月中旬にありました。イスラエル・ハマス大規模衝突をきっかけに、米国の若年層の間で自国の中東政策に対する不信感が高まっていることが背景だと、中国・外交学院国際関係研究所の李海東教授は指摘します。
詳細は後述します。それとは別にひとつ思わずにいられないのが、いわゆるZ世代にとって2001年はすでにリアルな手触りのない遠い過去になりつつあるのだということです。経済には「バブルを知らない市場参加者がバブルを作る」というような言葉があります。いまウサマ・ビンラディンの亡霊が姿を現すのは、おそらく「対テロ戦争」以降の国際政治の未解決な部分を映しており、世代論に還元して済む話ではないはずながら、この世論の危うい振幅は見逃せない問題だと感じます。
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