国内市場を整えてきた中国のコメは供給過剰傾向にある[三亜海棠湾水田国立公園のデモ田で育つスーパーハイブリッド米。この公園では、中国の稲作の科学技術開発が展示されている=2019年4月11日、中国・海南島](C)EPA=時事

 国内においてコメの需要量は、年間10万トンのペースで減っている。ここまで減った原因は、食事の洋風化、低糖質ダイエットの流行、高齢化、人口の減少などさまざまある。今後、減少のペースは加速こそすれ、低下することはないだろう。

 コメを使った食品を食べながら消費者が「ごはんで生産者さんを応援したい」と言い、稲穂の束を抱えた生産者が「食べてもらえると米づくりも頑張れる」と話す。最近、こんなCMがテレビで放映されている。現実はというと、消費者がコメを食べる量を多少増やしたところで、需要の減少という大勢は残念ながら変わらない。

 国内における需要量を農林水産省は2023年産で680万トンと予想している。10万トンは、その1.5%に当たる。毎年これだけの需要が失われ、そのぶん水田がいらなくなってしまうのは、由々しき事態だ。

輸出環境は甘くない

 国民が安全で栄養価の高い食料を合理的な価格で入手できるようにするという「食料安全保障」の観点から、水田が過度に減ることは望ましくないとされる。万が一、食料危機が起きた場合に、国民を養えるだけのコメを作れないからだ。水田を維持するため、コメの輸出を増やすというのが、農水省の方針である。

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