なぜアラブ諸国はイスラエルを強く批判しながらも厳しい対応を避けているのか[アラブ連盟と「イスラム協力機構(OIC)」の合同首脳会議に出席した各国首脳=2023年11月11日、サウジアラビア・リヤド](C)AFP=時事/HO/PPO

 10月から続くイスラエルとハマースの間の大規模な衝突は、過去のものになったと思われていたアラブ対イスラエルの構図を国際社会の表舞台に再度引き上げた。戦端を開いたのはハマース側であるにもかかわらず、アラブ諸国はこぞって問題の根源はイスラエルにあると追及し、各国ではイスラエルへの怒りとパレスチナとの連帯を叫ぶ大衆による抗議活動が起きている。

 しかし、アラブ諸国の対応は第五次中東戦争を予期させるようなものではなかった。ハマースと同調したのは、レバノンのヒズブッラーやイエメンのフーシー派といった準国家主体のみであり、その参戦規模も全面的な介入とは言い難い。また、イランが呼びかけているような、イスラエルとの国交断絶や石油の禁輸、経済制裁といった措置についてもアラブ諸国は慎重な姿勢を示し続けている。

 なぜアラブ諸国はイスラエルを強く批判しながらも厳しい対応を避けているのか。それを探る手掛かりとして、2020年のアブラハム合意以降、イスラエル・パレスチナとの関係がアラブ諸国、特にサウジアラビア、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)の論壇でどのように扱われてきたかを簡単に整理して見てみたい。

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