ジブチにて自衛隊「拠点」を訪問して意見交換をする筆者(自衛隊提供)

 自衛隊の唯一の海外「拠点」が、ジブチにある。

「拠点」とは、国内法上の根拠を明示するために用いられている概念である。馴染まない感じがするが、英語では「base」という概念で説明される。「基地」にあたる概念である。

 自衛隊が、憲法上の「戦力」ではないが、国際的には「military(軍)」であるのと似ている。ジブチにある自衛隊の存在は、国内法的には「拠点」だが、国際的には「base(基地)」である。

 海外の研究者・実務家層とジブチの自衛隊「基地」について話をしていると、「日本もこっそりとよく考えているな」と言われることが多い。大局的な戦略的見取り図に沿って、ジブチという要衝に、日本が自衛隊の「基地」を置いている、ように見えるからだ。

 だが実態としては、ジブチの自衛隊「基地」が戦略的見取り図に沿った政策に基づいて置かれたという話は、日本人の間ではあまり聞かない。まして「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の推進の観点からジブチに自衛隊の「基地」を置いている、という理解が、国民の間はもちろん、政府関係者の間においても、総意になっているとまでは言えない。

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