探査機「JUICE」と木星の衛星のひとつ「ガニメデ」(イメージ)(ESA / ATG Medialab )

 2023年は、生成AIの進化やその日常への浸透に関するニュースが目立った一年だった。人間のような自然な言葉を生成したり理解したりする大規模言語モデルは性能がみるみる向上し、ChatGPTが医学部の学生よりも自由回答の試験問題で高い点数を取るなど、ショッキングな発表も。

 一方で、医療のブレイクスルーや宇宙の新発見、そして生き物のふしぎ発見に関するニュースもたっぷりあった。2023年に話題になった科学ニュースのうち、まずは「インパクト大」の衝撃ニュースを5つ紹介したい。

アルツハイマーの進行を遅らせる薬が初承認

 今年、アメリカと日本で、アルツハイマー病の原因に働きかける新薬が承認された。これまで症状を緩和させる薬が処方されることはあったが、原因物質を取り除くことで進行を遅らせる薬が承認されたのは初めて。アルツハイマー病は「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質が異常に蓄積して神経細胞が死滅し、情報伝達ができなくなるため発症するとと考えられている。承認されたのは、日本のエーザイ社とアメリカのバイオジェン社が開発した治療薬の「レカネマブ」。臨床試験では記憶や判断能力の悪化が30%近く抑制された。早期のアルツハイマー病の人が対象となる。

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