連載小説 オペレーションF[フォース] 第48回
2024年1月20日
【前回まで】都倉の行動は、国際的にも大きな波紋を呼んだ。CNNに続いてBBCの取材を受けた都倉は、特派員のコネリーから、中国にリクルートされたのではとの疑惑をぶつけられる。
Episode5 四面楚歌
15(承前)
取材はそこで終わった。カメラを止め、コネリーもマイクを仕舞ったが、そのまま北京首都国際空港まで送るという。
「ここからは、オフレコで結構です。我々は、今回の中国の行動に驚いています。そもそも日米両軍が見守る中で、台湾の潜水艦を拿捕したこと自体、戦争覚悟の蛮行です」
日米両軍が自重したため、衝突は避けられたが、それは結果論ではある。
「東西新聞が、台湾有事を想定した実験だったのでは、という論説を掲載していましたが、まったく同感です。都倉さんは、どう思われますか」
オフレコと言われても、それを肯定するのは憚られた。
「華首相は記者会見で否定していました」
「会見で、真実が語られるわけではありません。都倉さんにもお立場があるでしょうから、これ以上は追及しませんが、あれが台湾有事のためのシミュレーションだとしたら、中国は大きな成果を得たでしょうね」
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