オペレーションF[フォース]
オペレーションF[フォース] (48)

連載小説 オペレーションF[フォース] 第48回

執筆者:真山仁 2024年1月20日
タグ: 日本
エリア: その他
(C)時事[写真はイメージです]
国家存続を賭けて、予算半減という不可能なミッションに挑んだ「オペレーションZ」。あの挫折から5年、新たな闘いが今、始まる。防衛予算倍増と財政再建――不可避かつ矛盾する2つが両立する道はあるのか? 目前の危機に立ち向かう者たちを描くリアルタイム社会派小説!

【前回まで】都倉の行動は、国際的にも大きな波紋を呼んだ。CNNに続いてBBCの取材を受けた都倉は、特派員のコナリーから、中国にリクルートされたのではとの疑惑をぶつけられる。

 

Episode5 四面楚歌

 

15(承前)

 取材はそこで終わった。カメラを止め、コネリーもマイクを仕舞ったが、そのまま北京首都国際空港まで送るという。

「ここからは、オフレコで結構です。我々は、今回の中国の行動に驚いています。そもそも日米両軍が見守る中で、台湾の潜水艦を拿捕したこと自体、戦争覚悟の蛮行です」

 日米両軍が自重したため、衝突は避けられたが、それは結果論ではある。

「東西新聞が、台湾有事を想定した実験だったのでは、という論説を掲載していましたが、まったく同感です。都倉さんは、どう思われますか」

 オフレコと言われても、それを肯定するのは憚られた。

「華首相は記者会見で否定していました」

「会見で、真実が語られるわけではありません。都倉さんにもお立場があるでしょうから、これ以上は追及しませんが、あれが台湾有事のためのシミュレーションだとしたら、中国は大きな成果を得たでしょうね」

 どんな成果なのかと問うた。……

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
真山仁(まやまじん) 小説家 1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な裏側を描いた『ハゲタカ』でデビュー。同シリーズはドラマ化、映画化され大きな話題を呼んだ。『マグマ』『ベイジン』『黙示』『売国』『ロッキード』『当確師 正義の御旗』など著書多数。最新刊『アラート』は「日本の未来を守る」ための安全保障がテーマの長編ポリティカル・フィクション。
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