政府機関が数十年もかけて培った宇宙の専門性やノウハウを民間企業が身につけるのは容易ではない[月探索のアルテミスI計画の一環として、オリオン宇宙船を乗せたNASAの新型ロケットSLSが、アメリカ・フロリダ州ケープカナベラルの39-B発射台から打ち上げられた=2022年11月16日](C)REUTERS/Joe Skipper

[ワシントン発/ロイター]アメリカは1月上旬に、2025年に目指していた月への有人飛行を2026年末に延期すると発表。一方で中国は2030年を目標に有人着陸を計画している。有人着陸の前に、両国ともにまずは数個の小型ロボットを送り、月面を調査する予定となっている。政府に後押しされた中国の宇宙計画はすでに、宇宙開発史上初の出来事をいくつも達成している。

 アストロボティックの月着陸船には、月面調査のために設計されたNASAの機器7点が搭載されていた。月着陸船は月面に無事の着陸はできない見込みだが、今年中にNASAが資金提供する3つの民間宇宙計画のうちの一つは、アストロボティックの月面着陸再挑戦が含まれる。

 NASAはイーロン・マスク氏のSpaceXなど民間企業に大きく頼っており、SpaceXのStarship HLS月面着陸船の利用に際し対価を支払うこととなっている。月探査計画のコストを削減することが狙いだ。最後に行われた有人の月探査計画は、半世紀以上前のアメリカのアポロ計画であり、その際はNASAが使用する宇宙船を全て所有していた。

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