不動産デベロッパーの経営に不安がある現状では、需要喚起策の効果は限定される[2024年1月16日、中国・上海](C)EPA=時事

 2023年の中国経済の成長率は5.2%となり、中国政府が掲げた5%程度の成長目標は達成した。しかし、上海等大都市の都市封鎖で成長が落ち込んだ前年(2022年)の低い水準から、経済再開によって力強い回復を期待する見方が多かったがそうはならず、弱さが目立った。2022年と2023年の成長率を平均すると4.1%とコロナ前(2019年6.0%)からははっきり減速した。

「ピーク・チャイナ」論の二つの見方

 弱い中国経済のパフォーマンスを目の当たりにして、中国経済がすでに「ピークを打った」とする「ピーク・チャイナ」論が、海外の多くの識者から次々提示された。識者の主張は様々だが、大別すると二つの見方があり、第一の見方は、中国経済が「日本化」する、つまり、1990年代以降に経済成長が失速した日本と同様の道を辿る可能性が高いとするものである。第二の見方は、より根本的な中国の政治体制の問題によって経済の活力が蝕まれていく、とするものである。

 第一の見方は、現在の中国経済と1990年代の日本経済との類似性に着目する。過剰債務や投資依存の経済構造、不動産バブル崩壊や金融システムの脆弱化、高齢化・生産年齢人口減少などの人口動態の変化といった面で、現在の中国経済は、90年代の日本に類似しているとする。

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